日本透析医学会雑誌
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原著
腹膜透析中止後腹腔洗浄中の被嚢性腹膜硬化症予防についてのコホート研究
山本 忠司出雲谷 剛奥野 仙二山川 智之
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2007 年 40 巻 6 号 p. 491-500

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抄録

PD中止後腹腔洗浄を行った患者240名で, 腹腔洗浄中のEPS, 腸閉塞, 腹水貯留, CRP上昇に対する発症頻度とその危険因子解析についてコホート研究を行った. 洗浄中アウトカムは一次転帰 (腸閉塞, EPS) および二次転帰 (腹水貯留, CRP上昇) とし, 調査した予測因子はPD期間, PD中止時PET (D/P-Cr), PD中止時中皮細胞面積 (中止面積), 腹腔洗浄中のアウトカム生起時もしくは調査打ち切り時点での中皮細胞面積 (洗浄面積), 腹腔洗浄液種類とした. 一次転帰は13名 (5.4%), その内, EPSは4名, 二次転帰は42名 (17.5%), その内, 腹水貯留は34名であった. 危険因子は一次転帰, 二次転帰ともにPD期間, 中止面積, 洗浄面積であった. 感度および特異度から求められるカットオフ値は, 中止面積は一次転帰, 二次転帰ともに350μm2, 洗浄面積は一次転帰320μm2, 二次転帰300μm2, PD期間は一次転帰120か月, 二次転帰96か月であった. アウトカム累積発症率は, 一次転帰は予後良好群 (洗浄面積<320μm2およびPD期間<120か月) で1年発症率4.2%, 2年4.2%, 予後不良群 (洗浄面積≧320μm2およびPD期間≧120か月) で1年累積発症率39.7%, 2年39.7%と有意差を認めた (p=0.0138). 二次転帰は予後良好群 (洗浄面積<300μm2およびPD期間<96か月) で, 1年発症率5.3%, 2年5.3%, 予後不良群 (洗浄面積≧300μm2およびPD期間≧96か月) で1年発症率は55.5%, 2年70.3%と有意差を認めた (p=0.0013). 洗浄面積の変化では一次転帰群は3か月で低下し, 二次転帰群では9から15か月で最も低下した. 転帰なし群の中止面積350μm2未満群では27か月まで変化なく, 350μm2以上群では3から21か月目で低下した. 腹腔洗浄中止後のアウトカム調査では, 104名中3名にEPS, 4名に腹水貯留を認めた. 腹腔洗浄中にも一次転帰, 二次転帰は生起した. しかし, 危険因子であるPD期間96および120か月, 中止面積350μm2, 洗浄面積300および320μm2をカットオフ値とすることによりその発症率を抑制できることが示唆された.

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© 2007 一般社団法人 日本透析医学会
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