日本透析医学会雑誌
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症例報告
二重濾過血漿交換療法が著効した抗MuSK抗体陽性重症筋無力症患者
中川 潤村松 崇大田 恵子安藤 稔
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2007 年 40 巻 6 号 p. 531-535

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抄録

血清抗アセチルコリン受容体抗体陰性, 筋特異的チロシンキナーゼ (Muscle specific tyrosine kinase ; MuSK) 抗体陽性の薬物治療抵抗性であった重症筋無力症患者に対して, 二重濾過血漿交換療法を施行したところ著効を示した症例を経験した. 症例は55歳, 女性. 2000年から重症筋無力症に罹患し, 胸腺摘出術, ステロイドパルス療法, プレドニゾロンおよび数種類の免疫抑制剤の併用療法で治療されていた. 発症時に2回の重症筋無力症クリーゼを経験していたが, 2005年6月に3回目のクリーゼのため当院神経内科に緊急入院した. 人工呼吸器管理となり, ステロイドパルス療法, γ-グロブリン大量療法を施行したが治療抵抗性であった. 人工呼吸器からの離脱も困難な状態が持続していたため, 二重濾過血漿交換療法 (DFPP) を開始したところ, 数回の施行後から呼吸状態および球症状の自覚的, 他覚的改善を認めた. DFPPを総計21回施行後, 重症筋無力症症状は軽減し退院可能となった. 現在, この患者はプレドニゾロン30mg隔日内服, およびタクロリムス3mgの内服に加えて約40日間隔で4回 (週2回, 2週間) のDFPP治療を定期的に追加することにより外来通院可能な状態が維持できている. 抗MuSK抗体陽性重症筋無力症の有病率は低いもののクリーゼ合併など重症例があり, 治療抵抗性のことが多いとされる. この症例の経験から本疾患の難治例を治療する上でDFPP療法選択の意義は大きいと考え, ここに報告する.

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© 2007 一般社団法人 日本透析医学会
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