日本透析医学会雑誌
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症例報告
CAPD患者に合併した交通性陰嚢水腫を3D-CT peritoneographyで診断し保存的治療で改善した1例
横山 健窪島 真吾鶴岡 佳代市川 大介櫻田 勉白井 小百合土田 浩生磯貝 晶子佐藤 雄一安田 隆佐藤 武夫木村 健二郎
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2008 年 41 巻 3 号 p. 219-223

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抄録

症例は糖尿病性腎症を原疾患とする慢性腎不全末期の56歳,男性である.2004年3月22日に持続携行式腹膜透析(continuous ambulatory peritoneal dialysis;CAPD)を導入し合併症なく退院したが,5月2日より陰嚢腫大が出現し,同時に除水不良が顕著となり約8kgの体重増加を認めた.Computed tomographic peritoneography(CT peritoneography)を施行し再構成した3次元画像を元に腹膜鞘状突起の開存による交通性陰嚢水腫と診断した.陰嚢水腫と除水不良は1.5%ブドウ糖透析液の注液量を2.0Lから1.5Lへの減量と安静のみで改善した.患者の強い希望によりその後も手術を行わず経過観察したが2005年11月8日に永眠されるまでの19か月の間に交通性陰嚢水腫の再発は認められなかった.CAPD患者の交通性陰嚢水腫の診断においてCT peritoneographyの有用性を報告している文献は散見されるが,3 dimensional-CT peritoneography(3D-CT peritoneography)は解剖学的関係をより明確に示すことができる信頼性の高い検査であることが示された.また,CAPD患者の交通性陰嚢水腫を保存的に治療した症例は稀である.

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© 2008 一般社団法人 日本透析医学会
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