日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
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原著
β2-ミクログロブリン吸着器リクセルS-25の臨床検討
―短期使用報告―(多施設共同研究)
下条 文武天野 泉小野 利彦北岡 建樹中西 健粕本 博臣佐藤 元美申 曽洙大林 誠 一山川 智之鈴木 正司石田 真理栗原 怜神應 裕森田 弘之武本 佳昭水口 潤中村 秀敏政金 生人本宮 善恢安藤 義孝小川 洋史平松 信
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2008 年 41 巻 5 号 p. 301-304

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抄録

83例(男:42例,女:41例)の透析アミロイド症患者を対象にリクセルS-25を使用した場合における,単回治療前後でのβ2M低下率を併用ダイアライザー別で検討した.また,使用開始後短期(平均治療期間3か月)に発現する副作用の検討を行った.併用ダイアライザーの使用分布はダイアライザー機能分類でIII型10.2%,IV型68.0%,V型20.5%,その他1.3%であり,単回治療における血中β2M低下率はIII型(膜面積1.5m2以上)で平均66.3%,IV型(膜面積1.5m2未満)で平均67.8%,IV型(膜面積1.5m2以上)で平均73%,V型(膜面積1.5m2以上)で平均70%であり,全体平均で71%(前:25.5mg/L→後:7.5mg/L)であった.また,S-35で治療されている患者6例において,クロスオーバーによりS-25を使用し,β2Mの総クリアランスを評価したところ,S-35で84.0mL/minであったのに対して,S-25で78.0mL/minであった(対S-35比92.9%).以前にS-35とS-15を比較検討した報告1)では,S-35使用時のβ2M総クリアランスは84.3mL/min,S-15は61.1mL/minであった.副作用の発現率は9.6%(8/83例)であり,血圧低下(3/83例)などが認められた.以前にS-35とS-15を比較検討した報告1)では,1年間の治療期間での副作用発現頻度はS-35で25%(13/53例),S-15で8%(5/66例)であった.以上より,S-25の製品特性はβ2MクリアランスではS-35に近く,安全性はS-15に近いことが示唆された.

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© 2008 一般社団法人 日本透析医学会
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