日本透析医学会雑誌
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原著
冠動脈バイパス術(CABG)施行後に血液透析(HD)導入された患者の長期予後
西 隆博栗田 宜明崔 啓子三瀬 直文多川 斉杉本 徳一郎
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2008 年 41 巻 9 号 p. 621-625

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抄録

近年,透析導入時にはすでに虚血性心疾患(IHD)を有している症例が増加している.今回透析導入前に,すでにCABGを施行していた23例についてHD導入後の予後を検討した.23例中男性は21例(91.3%),DMは17例(73.9%),CABG施行時の年齢は59.9±8.3(SD)歳,腎機能は推定Ccr 32±23mL/minであった.全例でCABGにより,完全血行再建がされた.CABGからHD導入までは4.0±5.0年,HD導入時年齢は64.8±8.4歳で,腎機能は推定Ccr 13±7mL/minであった.HD導入後の観察期間は5.0±3.0年であった.予後は16症例(69.6%)が死亡し,下肢壊疽1例,脳梗塞1例,小腸壊死1例を含め心血管死は10例(62.5%)であった.これらの症例では原疾患,年齢,腎機能,導入時の左室駆出率は,透析導入後の生命予後を規定しなかった.CABGにより完全血行再建され,CKDステージ4を乗り越え透析導入に至った症例では,導入後の生命予後は透析患者全体とくらべ遜色がない可能性がある.

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© 2008 一般社団法人 日本透析医学会
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