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日本透析医学会雑誌
Vol. 42 (2009) No. 11 P 847-856

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http://doi.org/10.4009/jsdt.42.847

原著

透析患者に肥満は少ないとこれまで考えられてきたが,内臓脂肪面積(VFA)の評価により透析患者では内臓脂肪蓄積の傾向にあることが示されている.透析患者のVFAが高分子量アディポネクチン-レプチン比(h-Adipo/Lep ratio)と負相関することは,すでに報告した.そこでわれわれは,総死亡と肥満の関連を明らかにするために,VFAおよびh-Adipo/Lep ratioが生命予後予測因子となり得るかを検討した.対象は120例,観察期間は53か月である.h-Adipo/Lep ratioのlog値とVFAはr=-0.624,p<0.0001の負相関を示した.本研究では肥満基準をVFA=75cm2とし,それに相当するh-Adipo/Lep ratio=0.65を算出した.これらの基準値により対象をそれぞれ2群に分け,Kaplan-Meier法およびLogrank testにより生存率を比較した.死亡群28例は高齢で,男性および糖尿病性腎症の割合が多かった.また,死亡群のh-Adipo/Lep ratioは2.00(range 0.04~29.7)で,生存群の1.12(range 0.03~83.5)にくらべ有意に高値であった(p=0.044).VFA<75cm2群とVFA>75cm2群の生存率に有意差はなかった.一方,h-Adipo/Lep ratio>0.65群の生存率は65.1%であり,h-Adipo/Lep ratio<0.65群の生存率94.3%にくらべ有意に低かった(p=0.002).さらに,h-Adipo/Lep ratio>0.65の症例中では,VFA<75cm2にくらべVFA>75cm2で生存率が有意に低かった(p=0.001).以上より,透析患者においてh-Adipo/Lep ratioは生命予後に対する有意独立因子であり,VFAを組み合わせることでさらなる生存率予測が可能であることが示唆された.

Copyright © 2009 社団法人 日本透析医学会

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