日本透析医学会雑誌
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症例報告
透析患者に発症したランソプラゾール関連性collagenous colitisの1例
宮川 尚之植田 拓也
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2010 年 43 巻 10 号 p. 843-846

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抄録

症例は81歳,男性.2008年12月に血液透析導入時よりランソプラゾールを内服していた.2009年3月より慢性の水様性下痢を認め,便ヘモグロビン検査が陽性となった.大腸内視鏡検査では上行結腸粘膜に縦走潰瘍を認め,生検組織検査で粘膜上皮直下にcollagen bandを認めた.ランソプラゾールの内服を中止することで,速やかに症状が消失したことから,ランソプラゾール関連性collagenous colitisと診断した.透析患者は消化管の易出血性のためランソプラゾールなどのプロトンポンプ阻害剤の服用率が高い.慢性下痢を呈する透析患者に遭遇した場合,ランソプラゾールの内服状況を確認した上で,当疾患を鑑別すべきである.

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© 2010 一般社団法人 日本透析医学会
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