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日本透析医学会雑誌
Vol. 43 (2010) No. 9 P 779-785

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http://doi.org/10.4009/jsdt.43.779

原著

血液透析症例の死因の第一位は心血管系イベントである.糖尿病症例の増加や高齢化に伴い,維持血液透析症例の経過観察において動脈硬化の評価はますます重要性を増している.近年,頸動脈エコー検査は粥腫の質的評価も可能であり,非侵襲的に虚血性心疾患や脳血管障害等の動脈硬化性疾患が予測可能であると報告されている.また,冠動脈CT血管造影(以下冠動脈CTA)により冠動脈病変を簡便に診断することも可能となってきている.今回われわれは,血液透析症例を対象とし,冠動脈病変の評価に対する頸動脈エコーの有用性について検討した.対象は当院血液透析症例108名(男性58名,女性50名,平均年齢69±12歳,平均透析歴6.7±6.2年)である.頸動脈エコーでは最大内膜中膜複合体厚(以下max-IMT),プラークの発生部位,性状,プラークスコア(以下PS)を,冠動脈CTAでは主要分枝の狭窄率および狭窄分枝数を求め,頸動脈エコー所見と冠動脈CTA所見の関連性を比較検討した.結果として冠動脈狭窄率はmax-IMT・PSともに高値となるにつれて高度となり,狭窄分枝数はmax-IMT・PSともに高値となるにつれて多枝病変症例が増加し,いずれも十分な統計学的有意差を示した.血液透析症例は虚血性心疾患のハイリスク群であるが,糖尿病症例を中心として典型的な自覚症状を伴わないこともあり,加えて心肥大や電解質異常等により心電図所見が修飾され,虚血性心疾患の鑑別診断が困難になる場合がある.今回のわれわれの検討では,頸動脈のmax-IMT・PSともに冠動脈狭窄率・狭窄分枝数と関連性を認めた.血液透析症例を対象としても,侵襲度の低い頸動脈エコー検査が冠動脈病変を予測する手段の一つとなり,虚血性心疾患に対するリスク評価に有用であると思われた.

Copyright © 2010 社団法人 日本透析医学会

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