日本透析医学会雑誌
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原著
70%イソプロピルアルコールを用いるPD接続チューブ交換手技について
―安全性と有用性の検討―
大谷 紘子小倉 加代子西分 延代壽見 佳枝石原 則幸中村 雅将土田 健司水口 潤川島 周
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2011 年 44 巻 3 号 p. 245-250

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抄録

接続チューブの交換手技は腹膜透析(peritoneal dialysis;PD)が国内に導入されて以降,メーカーの推奨する方法が見直されることなくマニュアル化されてきた.接続チューブの交換は4~6か月ごとに専用の交換キットを用い,消毒剤としてはポピドンヨード剤を使用し,滅菌手袋を交換するなど複雑な手技で,患者および医療従事者に負担をかけている.今回PD接続チューブの交換手技を見直し,使用消毒薬剤の安全性・有用性についても検討した.カテーテル切片を消毒剤(ポピドンヨード剤,イソプロピルアルコール)に浸漬した後,外観,引っ張り強度試験を実施した結果,ポピドンヨード剤からイソプロピルアルコールへ変更によるカテーテルへの影響は,接触時間を考慮すると問題はないと考えられた.また,変更した手技の安全性は細菌感染の発生頻度,腹膜炎発症の有無を確認したが全く問題はなかった.短時間で消毒効果が得られる70%イソプロピルアルコールを採用し,シンプルで解り易い交換方法手順を作成することができた.本方法を延べ153人のPD患者に対し,163回実施しているが問題は発生していない.今後,この方法がスタンダードな方法としてマニュアル化されれば大きなメリットとなる.

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© 2011 一般社団法人 日本透析医学会
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