日本透析医学会雑誌
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研究速報
希釈効果やpH変化を利用した蛋白結合性尿毒素除去に関する基礎検討
江口 圭山本 健一郎金子 岩和峰島 三千男
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2011 年 44 巻 3 号 p. 269-271

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抄録

蛋白結合性尿毒素は,その分子量の大きさから,通常の血液透析では除去困難な尿毒素として認識されている.今回,血漿成分に対して希釈効果およびpH変化を付与することにより,蛋白結合性尿毒素をアルブミンなどの蛋白から解離させ,除去することを目的とした基礎検討を行ったので報告する.腎不全患者から得たアフェレシス廃棄血漿を用いて,ホモシステインおよびインドキシル硫酸を対象としたin vitro実験を行った.その結果,生理食塩液やリン酸緩衝溶液による希釈効果によって,インドキシル硫酸では比較的容易に蛋白から解離させることができ,遊離率の上昇(蛋白結合率の低下)が認められた.また,希釈倍率が大きいほど,その解離は顕著であった.一方,ホモシステインでは,ほとんど解離が認められなかった.今後,蛋白結合性尿毒素の種類に応じた効果的な解離方法を検討する必要がある.

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© 2011 一般社団法人 日本透析医学会
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