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日本透析医学会雑誌
Vol. 45 (2012) No. 2 P 157-162

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http://doi.org/10.4009/jsdt.45.157

原著

Peripheral artery disease(PAD)は透析患者に高率に合併する,患者のADLに影響を及ぼす重大な合併症である.PADの評価方法として,ankle-brachial blood pressure index(ABI)が以前より広く臨床で使用されている.本研究ではABIと生命予後を6年と比較的長期に観察し,死因について検討した.2005年にABIを測定した外来維持透析患者117例を後ろ向きに対象とし,その当時の臨床データを調べた.左右どちらかがABI 0.9未満の群をABI 0.9未満群とし,左右とも0.9以上をABI 0.9以上群とした.117例中ABI 0.9未満群は19例(16.2%)であった.観察期間中の死亡数はABI 0.9未満群にて11例(57.9%)に対し,ABI 0.9以上群は15例(15.3%)とABI 0.9未満群において死亡率が高かった(p<0.0001).ABI 0.9未満群ではABI 0.9以上群と比較しアルブミンが低値(3.6±0.3g/dL対3.8±0.3g/dL,p=0.002),クレアチニンが低値(9.7±1.8mg/dL対11.8±2.5mg/dL,p<0.001),c-reactive proteinが高値(0.8±1.3mg/dL対0.2±0.7mg/dL,p=0.003),ヘモグロビンが低値(9.6±1.1g/dL対10.2±1.0g/dL,p=0.021)であった.コックス比例ハザード分析の多変量解析で死亡リスクとしてABI 0.9未満群であること(p<0.001),男性であること(p=0.006),クレアチニンが低値であること(p=0.002),ヘモグロビン値が高値であること(p=0.041),糖尿病を有すること(p=0.005)があげられた.死因としてはABI 0.9未満群では感染症による死亡がもっとも多く,ABI 0.9以上群に比較して有意に高率であった(19例中6例対98例中4例,p<0.001).次いで多かったのが脳心血管障害による死亡でABI 0.9未満群で19例中3例でABI 0.9以上群では98例中6例であった.血液透析患者において,ABI 0.9未満は生命予後の他の因子とは独立した危険因子であった.ABI 0.9未満群の死因としては感染症によるものがもっとも高率であった.

Copyright © 2011 社団法人 日本透析医学会

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