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日本透析医学会雑誌
Vol. 45 (2012) No. 3 P 241-246

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http://doi.org/10.4009/jsdt.45.241

原著

シャントなどのバスキュラーアクセスが確立していない患者に対して血液浄化療法が必要になった場合,ダブルルーメンカテーテルを中心静脈に留置して治療を開始することが一般的であるが,この方法は血流感染症・血栓形成など重篤な合併症のリスクを伴う.われわれは各種血液浄化法が必要となった症例に対し,バスキュラーアクセスが確立されるか血液浄化療法を離脱するかいずれの状況まで血液浄化のたびに超音波ガイド下で大腿静脈に透析針を挿入することで,ダブルルーメンカテーテルを使用することなく血液浄化を施行した.2008年6月から2011年8月まで当院で超音波ガイド下大腿静脈反復穿刺法にて血液浄化法を施行した16例を対象とした.基礎疾患は慢性腎不全が9例(糖尿病性腎症5例,腎硬化症2例,慢性糸球体腎炎1例,原因不明1例),膠原病が3例,ネフローゼ症候群が2例(微小変化群1例,原因不明1例),急性腎不全とM蛋白血症に伴う多発ニューロパチーが各1例であった.ステロイド・免疫抑制剤を投与中の患者は16例中6例であった.血液浄化法の内訳は血液透析が11例,二重濾過血漿交換・単純血漿交換併用が1例,二重濾過血漿交換単独が2例,ECUMが1例とLDL吸着が各1例であった.16ゲージの透析用長針を用い,穿刺に際して穿刺針に生じる音響陰影に着目し,積極的に超音波プローブを走査することで針先位置を特定した.大腿静脈は脱血側とし,返血側は四肢の皮静脈に通常の方法で穿刺した.16例に対し総計156回(1~48回,平均9.8回),本法による血液浄化を施行したが,新たな血流感染症や血腫形成は認めなかった.大腿動脈には分枝が多く解剖学的知識や触診に基づいた大腿静脈反復穿刺法では一定の確率で動脈性出血を起こしうるが,本法により安全・確実な血液浄化療法が施行可能であった.ダブルルーメンカテーテルの留置を避けたい場合に本法は一時的バスキュラーアクセスとして有用と思われた.

Copyright © 2012 社団法人 日本透析医学会

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