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日本透析医学会雑誌
Vol. 45 (2012) No. 7 p. 567-570

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http://doi.org/10.4009/jsdt.45.567

短報

わが国の透析患者において,2010年の死亡原因の第1位は脳心血管障害である.シロスタゾールは脳卒中および末梢動脈疾患のガイドラインで推奨されている心血管障害に対する薬剤であり,シロスタゾール投与群ではHDLコレステロール値の上昇,トリグリセリド値の低下も認め,シロスタゾールの抗動脈硬化作用の一部の機序として脂質代謝の改善が考えられている.しかし,血液透析患者に対する脂質の変化の報告は今までになされていない.今回,われわれはアスピリン投与中の血液透析患者において,シロスタゾールへの切り替え後の脂質の変化を検討した.三軒茶屋病院の維持透析患者で,末梢動脈疾患や脳梗塞後の患者でアスピリン内服中の患者8名を対象とした.アスピリン100mg分1内服からシロスタゾール100mg分2内服に切り替え,投与前と投与1か月後の週初め透析前の血清アルブミン,中性脂肪,low density lipoprotein(LDL)コレステロール,high density lipoprotein(HDL)コレステロール,Apolipoprotein A1(Apo A-1),Apolipoprotein A2(Apo A-2),Apolipoprotein B(Apo B)を測定した.シロスタゾール切り替え後のHDL-コレステロールは45.8±11.5mg/dLより52.4±12.3mg/dLと有意に上昇した(p=0.003).Apo A-1は123.8±21.3mg/dLより139.4±19.1mg/dLと有意に上昇(p=0.004)し,Apo A-2も26.4±4.3mg/dLより28.9±3.6mg/dLと有意に上昇した(p=0.003).中性脂肪は103.0±70.0mg/dLから83.1±39.5mg/dLと低下傾向を示した(p=0.186).血液透析患者においてもシロスタゾールには,HDL-コレステロール,Apo A-1,Apo A-2の上昇作用がある可能性がある.

Copyright © 2012 社団法人 日本透析医学会

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