日本透析医学会雑誌
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症例報告
間欠的血液透析が奏功した急性炭酸リチウム中毒の1例
渡辺 隆太稲田 浩二東 浩司山下 与企彦岡 明博中西 英元岡本 典子
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2013 年 46 巻 7 号 p. 667-670

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抄録

症例は66歳,男性.双極性障害のため近医精神科に通院し内服加療を行っていたが,攻撃性がみられコントロール不良であったため,2011年4月下旬同院入院,炭酸リチウム800 mg/日内服開始された.興奮状態は徐々に収まったが,内服6日目頃から傾眠傾向となった.内服13日目に測定したリチウム血中濃度が3.4 mEq/Lと異常高値を示したため,当院に救急搬送された.急性リチウム中毒による意識障害と考えられたため,リチウム除去目的の血液透析を開始した.6日間連日1日1回の4時間透析を施行した.リチウム血中濃度は速やかに低下し,入院3日目には1.0 mEq/L以下となった.治療7日目より急激に意識レベルは改善し,通常の会話が可能となり,不随意運動も認めなくなったため,血液透析は終了した.入院9日目に前医精神科に転院した.炭酸リチウム内服開始初期の急性中毒の場合,間欠的透析加療のみで速やかに血中濃度の低下が期待できる.

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© 2013 一般社団法人 日本透析医学会
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