日本透析医学会雑誌
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原著
血液透析患者におけるerythropoiesis-stimulating agent投与プロトコールの開発 : 赤血球生成代謝モデルを用いた血中ヘモグロビン値予測法の検討
田原 保宏城戸 保宏長松 智田村 幸雄西山 久美子
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2014 年 47 巻 1 号 p. 67-74

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抄録

 血液透析患者の貧血管理におけるerythropoiesis-stimulating agent (ESA) の投与プロトコールを確立するためにはESA投与量から血中ヘモグロビン値を精度よく予測する方法の確立が必要である. この目的のため, 著明なヘモグロビン (Hb) サイクリングを示す症例を対象に時系列解析を行い, ESA投与に対するHbの応答性を解析した. 時系列解析の結果, Hb値は7週前のESA投与量と最もよく相関し, Hb値はESAの増減に対し約7週の遅れで追随することが判明した. この結果は血液透析患者の赤血球寿命が約14週であることを示すと考えられる. 次いで, 赤血球生成代謝モデルを構築し, ESA投与量からHb値を予測できるかどうかを検討した. モデルのパラメーターを変化させて検討したところ, 赤血球寿命を11~14週とするとESA投与量からHb値を良好に予測できることが判明した. 実測値と予測値の相関係数は0.77±0.08 (mean±SD) という高値であった. これらの結果から, 本モデルを用いてESA投与量からHb値を予測できることが確認された. この成果を応用すれば赤血球の生成代謝機構を考慮したESA投与プロトコールの作成が可能になると考えられる.

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© 2014 一般社団法人 日本透析医学会
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