日本透析医学会雑誌
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症例報告
L-カルニチン補充療法によりESA低反応性貧血の改善を認めた維持血液透析症例
セレスタ ギャヌ ラジャ松本 昭英
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2014 年 47 巻 10 号 p. 647-651

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抄録

症例は77歳の男性, 腎硬化症による慢性腎不全のために維持血液透析 (MHD) 治療中であった. 腎性貧血は, 高用量のerythropoiesis stimulating agent (ESA) darbepoetin-alfa (DA) 60μg/週に十分な鉄剤を投与したにもかかわらず, 改善しなかった (Hb 8.5±0.73g/dL). 血清カルニチン濃度測定の結果, 遊離カルニチン低値で (27.2μmol/L), アシルカルニチン/遊離カルニチン比の上昇 (0.42) を認めた. ESA低反応性貧血の原因はカルニチン欠乏によるものと判断し, L-カルニチン (LC) 600mg/日の補充療法を開始した. 貧血は徐々に改善, 6か月間のHb 9.7±0.43g/dL, 1年後にHbは12.2g/dLと上昇した. DAの投与を30μg/週と減量した. 18か月後Hbは11.52±0.51g/dLと安定している. Erythropoietin resistance index (ESAμg/週/体重kg/Hb g/dL) (ERI) は0.13より0.049と減少した.

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© 2014 一般社団法人 日本透析医学会
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