楢村 友隆, 透析液エンドトキシン測定における保存検量線使用の妥当性評価, 日本透析医学会雑誌, 2014, 47 巻, 2 号, p. 137-143, 公開日 2014/03/06, Online ISSN 1883-082X, Print ISSN 1340-3451, https://doi.org/10.4009/jsdt.47.137, https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsdt/47/2/47_137/_article/-char/ja, 抄録: 透析液安全管理における透析液中エンドトキシン(ET)測定の重要性は広く認識され,多くの透析施設にてET試験による透析液清浄化評価が行われている.ライセート試薬を用いたET試験法は,測定に使用する器具や測定装置,また測定環境の影響を受けやすいため,測定ごとに検量線を作成して定量することが望まれるが,操作が煩雑なことから,ライセート試薬のロットごとにメーカーにて測定した検量線データを測定装置に入力して検量線を作成するという,いわゆる保存検量線を使用する方法も汎用されている.しかし,透析液中のET測定において,このような保存検量線を利用した際の測定値の正確性および精度を検証した報告は見出せない.そこで,透析液中ET測定における保存検量線使用の妥当性を検討・評価した.結果,保存検量線を用いた場合でも,反応干渉因子試験,検出限界,透析液の定量限界においてHDF研究会作成のバリデーション指針に定めた測定試薬のバリデーション基準に適合することが確認され,室内再現精度も良好であった.よって,試験者はメーカー推奨の操作ができるように事前に教育訓練を受け,測定装置は校正点検されたものを用いるという管理された条件化において,透析液ET測定における保存検量線使用の妥当性が確認された.