日本透析医学会雑誌
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症例報告
透析患者の慢性骨髄性白血病におけるイマチニブ・ダサチニブの長期使用の1例
柴﨑 俊一津田 勝路荒木 真山﨑 美佐子三浦 浩平
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2015 年 48 巻 12 号 p. 713-718

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抄録

血液透析患者の高齢化に伴い, 悪性腫瘍合併は増加傾向である. しかし, 血液透析患者の抗がん剤治療は知見集積が少ないのが現状である. 血液透析患者の慢性骨髄性白血病 (chronic myeloid leukemia : CML) では, 検索した範囲内でイマチニブでの長期治療報告はなく, ダサチニブでは治療報告がない. 症例は87歳の男性. 81歳で血液透析導入. 82歳時にCMLと診断され, イマチニブ開始. イマチニブ300mg隔日投与を基本とし, 血液学的完全寛解を3年間維持した. イマチニブ抵抗性でダサチニブに変更後, 血液学的完全寛解は得られたが, 左室壁運動低下などの心毒性がみられた. ダサチニブ中止後に急速に改善した. 血液透析患者でもイマチニブで長期にCMLが制御できること, ダサチニブによる心毒性は血液透析患者で出やすい可能性が臨床的に示された.

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© 2015 一般社団法人 日本透析医学会
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