日本透析医学会雑誌
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特集:腹膜透析(PD)の未来
腹膜透析の歴史と将来への展望
平松 信
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2017 年 50 巻 11 号 p. 677-683

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抄録

わが国において連続携行式腹膜灌流 (CAPD) は1980年より導入され, 1984年健康保険適用となり本格的普及が始まったが, その後の頻回の診療報酬の改定にもかかわらず, 腹膜透析 (PD) の普及率は3%未満と低迷している. 2002年高齢者腹膜透析研究会が設立され, 高齢者に対するPD療法への認識が高まった. 2009年版日本透析医学会 「腹膜透析ガイドライン」 が作成され, PD療法の基本的な位置づけを, 慢性腎臓病 (CKD) ステージ5に対する包括的腎代替療法の初期治療であるとした. 2012年よりPDとHDの併用療法が診療報酬で認められるようになり, PD療法患者の約20%が併用療法となっている. 限りある医療財源の中で透析医療費の増大が問題となっていることから, 医療経済的な面から透析医療を評価することが求められている. 高齢者, とくに後期・超高齢者におけるPD療法は, 必要最小量の透析で余生を自然に過ごせることから, 最初に導入を考慮されるべき療法である.

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© 2017 一般社団法人 日本透析医学会
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