日本透析医学会雑誌
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原著
血液透析患者におけるambulatory arterial stiffness index (AASI) と頸動脈末梢血管抵抗との関連についての検討
末永 (福山) 美佐子甲斐田 裕介中野 薫山田 (小原) 奈々安達 武基安藤 亮太郎杉 健三深水 圭
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2017 年 50 巻 7 号 p. 473-476

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抄録

【目的】近年24時間自由行動下血圧測定 (ABPM) の普及で, ABPMにより測定したambulatory arterial stiffness index (AASI) が, 動脈硬化や心血管イベント, 特に脳梗塞の指標としての有用性が評価されてきている. しかしながら血液透析 (HD) 患者におけるAASIの有用性については明らかでない. われわれはHD患者においてAASIが頸動脈末梢血管抵抗 (resistance index: RI) と関連するかについて検討した. 【方法】HD患者15名に対しHD前から24時間ABPMを行った. ABPMより算出したAASIと超音波ドップラー法で検査した頸動脈RI (総頸動脈: common carotid artery: CCA, 椎骨動脈: vertebral artery: VA) との関連について統計学的に検討した. 【結果】ABPMより算出したAASIは1.39±0.10と高値であった. CCA-RIとVA-RIは, それぞれ0.83±0.05, 0.75±0.09であり, AASIとそれぞれ有意に正相関していた (CCA-RI: R2=0.353, p=0.02, VA-RI: R2=0.474, p=0.005). 【結論】血液透析患者におけるABPMから算出されるAASIは頸動脈末梢血管抵抗を反映しており, 脳血管障害の指標となる可能性が示唆された.

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© 2017 一般社団法人 日本透析医学会
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