日本透析医学会雑誌
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わが国の慢性透析療法の現況 (2016年12月31日現在)
政金 生人谷口 正智中井 滋土田 健司和田 篤志尾形 聡長谷川 毅濱野 高行花房 規男星野 純一後藤 俊介水口 潤山本 景一中元 秀友
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2018 年 51 巻 1 号 p. 1-51

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抄録

日本透析医学会統計調査 (JSDT Renal Data Registry: JRDR) の2016年末時点における年次調査は, 4,396施設を対象に実施され, 4,336施設 (98.6%) から回答を得た. 匿名化方法を強化して2年目の調査であったが, 施設調査票, 患者調査票とも回収率はほぼ例年通りであった. わが国の透析患者数は年々増加し続け, 2016年末の透析患者数は329,609人に達した. 平均年齢は68.15歳で, 人口百万人あたりの患者数は2,597人であった. 最も多い原疾患は糖尿病性腎症 (38.8%), 次いで慢性糸球体腎炎 (28.8%), 第3位は腎硬化症であった (9.9%). 経年的にみると, 糖尿病性腎症および腎硬化症が増加し, 慢性糸球体腎炎は減少している. 2016年の透析導入患者数は39,344人であり, 2008年以降大きな変動なく推移している. 透析導入患者の平均年齢は69.40歳であり, 原疾患では糖尿病性腎症が最も多かった (43.2%). 糖尿病性腎症による年間導入数は横ばいで推移している. 一方, 2016年の年間死亡患者数は31,790人であり, 年間粗死亡率は9.7%であった. 2012年の診療報酬改定以降, 血液透析濾過 (HDF) 患者数は急増しており2016年末には76,836人に達した. これは2015年末と比較して21,503人増加した. 施設調査結果による腹膜透析 (PD) 患者数は9,021人であり2015年よりも減少している. 腹膜透析患者のうち20.3%は血液透析 (HD) やHDFとの併用療法であった. 2016年末の在宅HD患者は635人であり, 2015年末から63人増加した.

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© 2018 一般社団法人 日本透析医学会
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