2018 年 51 巻 11 号 p. 649-655
CKD-MBDは, CKDの進展に伴って進行するミネラル骨代謝異常の総称で, 心血管合併症などを介して生命予後に悪影響を与える全身性疾患である. CKD-MBDの三大要素は検査値異常, 骨病変, 血管石灰化であるが, 近年のこの分野の精力的な研究成果により, その概念の包摂する範囲は益々広く深くなりつつある. 血管石灰化や心肥大, さらには栄養障害や貧血も考慮した管理が求められる時代になった. しかし, CKD-MBDの概念がいかに拡張されようとも, CKD-MBDの治療は, 血清カルシウム, リン, PTH値を目標範囲に適切に管理することに尽きる. リン吸着薬, ビタミンD受容体作動薬, そしてcalcimimeticsを駆使し, ガイドラインの推奨する管理目標範囲を達成すべきである. 本稿では, CKD-MBDの構成要素としての血清カルシウム, リン, PTHの管理方法, 関連する病態, そしてこの分野のエビデンスについて概説する.