日本透析医学会雑誌
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わが国の慢性透析療法の現況 (2017年12月31日現在)
新田 孝作政金 生人花房 規男谷口 正智長谷川 毅中井 滋後藤 俊介和田 篤志濱野 高行星野 純一常喜 信彦阿部 雅紀山本 景一中元 秀友
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2018 年 51 巻 12 号 p. 699-766

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抄録

日本透析医学会統計調査 (JSDT Renal Data Registry: JRDR) の2017年末時点における年次調査は, 4,413施設を対象に実施され, 施設調査票に関しては4,360施設 (98.8%), 患者調査票に関しては4,188施設 (94.9%) から回答を得た. 匿名化方法を強化して3年目の調査であったが, 施設調査票, 患者調査票とも回収率はほぼ例年通りであった. わが国の透析患者数は年々増加し続け, 2017年末の施設調査結果による透析患者数は334,505人に達し, 人口百万人あたりの患者数は2,640人であった. 患者調査結果による平均年齢は68.43歳で, 最も多い原疾患は糖尿病性腎症 (39.0%), 次いで慢性糸球体腎炎 (27.8%), 第3位は腎硬化症であった (10.3%). 経年的にみると, 糖尿病性腎症および腎硬化症が増加し, 慢性糸球体腎炎は減少している. 2017年の施設調査結果による透析導入患者数は40,959人であり, 2008年以降概ね大きな変動なく推移している. 患者調査結果による透析導入患者の平均年齢は69.68歳であり, 原疾患では糖尿病性腎症が最も多かった (42.5%). 糖尿病性腎症による年間導入数は横ばいで推移している. 一方, 2017年の施設調査結果による年間死亡患者数は32,532人であり, 年間粗死亡率は9.8%であった. 2012年の診療報酬改定以降, 血液透析濾過 (HDF) 患者数は急増しており2017年末には95,140人に達した. これは2016年末と比較して18,304人増加した. 腹膜透析 (PD) 患者数は9,090人であり2016年よりも増加している. 腹膜透析患者のうち19.4%は血液透析 (HD) やHDFとの併用療法であった. 2016年末の在宅HD患者は684人であり, 2016年末から49人増加した.

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© 2018 一般社団法人 日本透析医学会
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