2018 年 51 巻 9 号 p. 551-555
症例は66歳男性. 在宅療養困難のため長期入院下にて維持透析受療中に発熱を認めた. 抗生剤加療に反応せず, 精査目的にて当院紹介入院. CTにて腹水を認め腹水中アデノシンデアミナーゼ (ADA) 上昇から結核性腹膜炎を疑ったが, 結核菌特異的インターフェロンγ遊離試験 (IGRA) は陰性であった. 診査腹腔鏡にて多数の微小結節を伴う腹膜炎を認め, 腹膜生検および培養にて結核性腹膜炎と確診した. イソニアジド (INH)・リファンピシン (RFP)・エタンブトール (EB)・ピラジナミド (PZA) の四剤投与を開始したのち解熱を認めた. IGRAは結核診断のうえで有用な検査だが, 偽陰性例もあることを念頭におくことが重要と考えた. 結核性を疑う腹膜炎例では, 積極的に診査腹腔鏡を活用することが正確な診断と治療のうえで重要と考えた.