症例は66歳,男性.慢性糸球体腎炎による末期腎不全に対し血液透析を導入され,35年の長期透析歴がある.便秘を主訴に消化器内科を受診しCT撮像したところ,偶発的に右腎腫瘍および静脈腫瘍栓,リンパ節転移,骨転移,肺転移を認めた.転移性右腎細胞癌,cT3bN2M1,IMDCリスク分類poor riskと診断し,ニボルマブ・イピリムマブ併用療法を開始した.4コース終了後のCTでは多発肺転移はほぼ消失し,右腎原発巣,静脈腫瘍栓,腹部リンパ節転移,骨転移もいずれも縮小し,partial response(PR)の判定となった.9コース終了後もPRを維持している.副作用としては2コース終了時にGrade 2の甲状腺機能低下症を認めたが,内服加療のみで管理可能であった.長期血液透析歴を有する患者に発生した進行腎細胞癌に対するニボルマブ・イピリムマブ併用療法は,安全かつ有効に施行可能であった.