日本透析医学会雑誌
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中央検査室多項目生化学自動分析装置の血清モード,尿モードを用いた透析液電解質(Na,K,Cl)測定
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2021 年 54 巻 3 号 p. 149-153

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抄録

【目的】イオン選択電極(ISE)希釈法による多項目生化学自動分析装置(BAA)が透析液電解質測定に適するか否かを検討した.【方法】調整後濃度(mEq/L)がNa 140,K 2.0,Cl 112.25,HCO3 27.5となる透析液(HD液n=10),透析液測定用真度管理物質JCTCM330(n=3),および生理食塩水(生食)(n=3)のNa,K,Cl濃度をBAA血清(s)モード,尿(u)モードで測定した.【結果】透析液,JCTCM330,生食のsモード,uモードによる測定Na,Cl濃度は,それぞれ透析液:Na 139.2±1.4,138.7±1.3(p<0.05),Cl 110.1±1.2,112.7±1.1(p<0.0001),JCTCM330: Na 139.1,138.4,Cl 106.0,108.7,生食:Na 152.3,151.8,Cl 150.8,152.4で,標準血清で校正されるsモードは,uモードに比べNaは高く,Clは低かった.【考察】測定値が想定値に近似したのは,ISE希釈法では検体希釈により活量係数は1に,血清固形成分の割合は0に近づくためと思われる.【結論】BAAは透析液電解質測定に適しているが,sモードはClが,uモードはNaが低く表示される.

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© 2021 一般社団法人 日本透析医学会
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