日本透析医学会雑誌
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症例報告
セフトリアキソンによる抗菌薬関連脳症への血液透析および血漿交換の有効性を検討した急速進行性糸球体腎炎による急性腎障害の1例
長山 尚平田代 渉川井 有紀國井 綾奈馬場 健寿川﨑 敬子古宮 士朗湯藤 潤松元 一明岩本 彩雄田村 功一
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2024 年 57 巻 2 号 p. 93-98

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抄録

88歳女性.20XX年5月抗GBM抗体型急速進行性糸球体腎炎(RPGN)の診断で入院.入院時に急性腎障害(AKI stage 3)であり緊急血液透析(HD)導入を行い,RPGNに対してPSLと血漿交換(PE)併用を行った.入院第5病日に意識障害を認め,入院時より投与中のセフトリアキソン(CTRX)による抗菌薬関連脳症(AAE)を疑い,第6病日の血中CTRX濃度は198.7μg/mLと高値を認めた.CTRXの投与を中止し,CTRXの分布容積の小ささと蛋白結合率の高さからPE併用による除去効果増強を期待したが,PEによる減少は認めなかった.HD施行後一時的な血中CTRX濃度減少を認めたが翌日にはリバウンド現象と思われる血中濃度の再上昇が認められ,結果的に有効な薬物除去は得られなかった.第13病日には意識レベルの改善が得られ,血中CTRX濃度も減少した.高齢のAKIを伴う患者はAAEのリスクを複数有していることも多く,個別の患者背景と病態を考慮した治療を行う必要があると考えられた.

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