2025 年 58 巻 1 号 p. 16-23
溶血後のヘモグロビンがビリルビン(Bil)に代謝される過程で必要となるハプトグロビン(Hp)が恒常的に低発現な人に発症した血栓性微小血管症(TMA)の症例経験を報告する.症例は80歳,男性.数日で急速に腎機能が低下し当院を紹介受診した.血小板低下・破砕赤血球を伴う貧血・高LDH血症も認め,血清Hp濃度は検出感度以下だった.TMAが疑われ腎組織もTMAの所見だったが,血清間接Bil上昇や脾腫は認めなかった.支持療法として輸血・血液透析を行う過程で,TMAは沈静化し透析を離脱した.自宅退院後2年経過時でも血漿Hp濃度は通常のネフェロメトリーでは検出感度以下であり,高感度ELISAで何とか検出できる程度であった.TMAの急性期に黄疸所見を欠いた要因はHp低発現と推測されるが,今後TMAでこの非典型的徴候を認めた場合先天性Hp欠損症の可能性も考慮し,治療として選択され得る輸血や血漿交換においてはアナフィラキシー発生時の特別な対策が望まれる.