2025 年 58 巻 11 号 p. 505-510
53歳,男性.腹膜透析関連腹膜炎(peritoneal dialysis peritonitis: PDP)にて入院となり第1,第3世代セファロスポリン系抗菌薬の腹腔内投与を行い軽快退院した.3週間程度で再度腹痛,排液混濁をきたし腹膜炎の再燃あるいは再発と診断され再入院した.CT検査では腸管壁肥厚を認め,CDトキシン検査陽性でありClostridioides difficile 腸炎に伴う二次性腹膜炎であった.バンコマイシン塩酸塩(VCM)内服を行い腹膜炎は軽快し,カテーテル抜去を防ぐことができた.腹膜透析患者のC. difficile 感染症(CDI)はプロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor: PPI)や抗菌薬経静脈投与歴のある場合にみられるが,本例ではいずれのリスク因子も有さなかった.リスク因子を有さない腹膜透析患者が抗菌薬腹腔内単独投与でCDIを発生した症例は稀である.PDPに対して抗菌薬腹腔内投与を行っているにもかかわらず治療経過が不良で,再燃あるいは再発を示唆する二峰性の経過をたどる場合は,画像検査やCDトキシン検査を行い,CDIを鑑別することが重要である.