日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
症例報告
培養陰性腹膜炎の治療後に腹膜炎の再燃・再発の経過で発症したClostridioides difficile 感染症の1例
星 健太村上 円人佐藤 芳紀杉浦 康平船木 裕規野村 藍菜葛西 貴広
著者情報
ジャーナル フリー

2025 年 58 巻 11 号 p. 505-510

詳細
抄録

53歳,男性.腹膜透析関連腹膜炎(peritoneal dialysis peritonitis: PDP)にて入院となり第1,第3世代セファロスポリン系抗菌薬の腹腔内投与を行い軽快退院した.3週間程度で再度腹痛,排液混濁をきたし腹膜炎の再燃あるいは再発と診断され再入院した.CT検査では腸管壁肥厚を認め,CDトキシン検査陽性でありClostridioides difficile 腸炎に伴う二次性腹膜炎であった.バンコマイシン塩酸塩(VCM)内服を行い腹膜炎は軽快し,カテーテル抜去を防ぐことができた.腹膜透析患者のC. difficile 感染症(CDI)はプロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor: PPI)や抗菌薬経静脈投与歴のある場合にみられるが,本例ではいずれのリスク因子も有さなかった.リスク因子を有さない腹膜透析患者が抗菌薬腹腔内単独投与でCDIを発生した症例は稀である.PDPに対して抗菌薬腹腔内投与を行っているにもかかわらず治療経過が不良で,再燃あるいは再発を示唆する二峰性の経過をたどる場合は,画像検査やCDトキシン検査を行い,CDIを鑑別することが重要である.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本透析医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top