2025 年 58 巻 8 号 p. 373-379
透析療法は大量の水や電力,多くの廃棄物を伴う資源消費の大きな医療行為の一つであり,環境を意識したGreen Dialysisの議論が世界的に広まっている.排出される温室効果ガスの量をCO2に換算したCarbon footprint(CF)について,2024年11月時点で英国,オーストラリア,日本を含む8か国11報の報告がある.患者一人あたりの年間CFの算定結果は,血液透析で3.3~10.3トンCO2eq,腹膜透析で1.4~4.5トンCO2eqであった.CFの評価方法には研究ごとの相違があり,薬剤や医材のCFの基礎的なデータベースの整備も未達成である.さらにGreen Dialysisの活動は増え,今後も多くの国からCFの報告があると思われる.CF削減のための組織的な取り組みを推進するため,日本の透析医療においても学会活動,職場教育や医学教育により環境意識の向上が望まれる.