抄録
長期血液透析患者の腎性骨異栄養症 (以下ROD) は, 種々対策がなされてきているがその進行を抑制し得ない場合が多い. われわれは, ビタミンD3, アルミゲルの投与にもかかわらず, Al-pが15KAU以上の患者59例にエルカトニン (Elcatonin以下ECT) 80単位を血液透析のたびにヘパリンと混合して持続注入した. 一般血液生化学検査, Al-p, 内因性CT, c-PTHと骨吸収の指標となる血中free hydroxyproline (以下free hypro) の測定, 骨レントゲン撮影などでECTのRODに対する有効性を検討した. Ca, P, c-PTH, 内因性CTの値は投与期間中変化しなかった. Al-pは軽度低下傾向を示したが有意な変化ではなかった. 健常者40名の血中free hypro値は9.12±2.73nmol/mlであったが, 透析患者の血中free hyproは37.76±25.75nmol/mlで明らかに高値を示した (p<0.001). ECT投与前の血中free hyproとAl-pの関係をみたところ相関系数0.66で有意の正の相関が認められた (p<0.001). そして高値を示した血中free hyproはECT投与により漸次低下し24ヵ月後には20.71±12.25nmol/mlとなり有意 (p<0.05) に低下した. しかしまだ健常人より高値であった (p<0.001).
投与前の血中free hypro値とECT投与による血中free hypro値の減少量の間に有意な相関 (γ=0.63 p<0.01) が得られ, free hypro値が高い患者ほどこの低下が顕著であった. ECT投与による副作用は投与初期の悪心, 嘔吐以外は特に認められなかった. また有意差はなかったが貧血改善傾向が認められた. 以上の結果よりECT投与はRODの骨吸収を抑制するのに有効であり, また血中free hyproの測定はECT投与の有効性を判定するマーカーとなり得ると考えられた.