日本透析療法学会雑誌
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慢性透析患者の塩分摂取の実態と低カリウム低リン減塩調味料の使用経験
柄澤 則子岩原 由美子鈴木 正司平沢 由平臼井 昭子
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1990 年 23 巻 12 号 p. 1341-1344

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抄録

慢性透析患者に, より実行しやすい栄養指導をしたいため, 当院の外来透析患者163名を対象に, 日常の食事と家族との関わり, 塩分に対する意識や, 調味料の使用状況などについてアンケート調査を行った. また, 実際の塩分摂取量を体重増加量から計算した. さらに, キッコーマン株式会社が開発した低カリウム低リン減塩調味料「だしわりしょうゆ」を当院と東京女子医科大学の外来透析患者計33名に, 家庭で2週間前後使用してもらい, その後, 聞き取り調査を行い, 食事管理に有効かどうかを検討した. その結果, 1. 外来透析患者のほとんどは, 家族と同じ献立で, 量を加減していた. 2. 透析歴が長期になるにつれて, 塩分の取り方に工夫が見られた. 3. 調味料の選択に気をつけている人は, 透析歴が長期になるにつれて減少する傾向が見られた. 4. 無尿の225名の塩分摂取量は, 平均9.8g/日で指示量よりも多く, 透析歴との相関はなかった. 5. 多くの患者が低カリウム低リンの調味料に興味を持ち, だしわりしょうゆの使用感では, 大方の患者が満足と回答していた. 以上の結果より, 食事は家族との関わりが強く, 家族を含めた教育が重要であり, だしわりしょうゆは食生活をより豊かなものにするため有効と考えられた.

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