日本透析療法学会雑誌
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セフェム系抗生物質のタンパク結合率と透析性の関係について
山田 敏生芝本 隆飯野 靖彦蓮村 靖大島 博幸丸茂 文昭高橋 雅彦渋谷 千枝子小笠原 陽
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1990 年 23 巻 12 号 p. 1373-1376

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抄録

セフェム系抗生物質 (CA) のタンパク結合率 (PB) がその透析性に及ぼす影響を知るため, 以下の臨床試験を行った. 臨床試験への参加を承諾した6名の慢性維持血液透析患者で, PBが17%から96%の7種類のCA (PBの低いものからCAZ, CZX, CXM, CTX, CFX, CMZ, CPM) 1gを, それぞれ別々に血液透析開始時に静注した. その1時間後に除水ゼロ・血流量150ml/minの条件で, ダイアライザーの動静脈側の血中CA濃度を測定した. ダイアライザーはPMMA製1.0m2のホローファイバー型を用いた. 動脈側の血中CA濃度もCAの除去率も, PBが70%以下では異なるCAの間で大差がみられなかったが, 85%以上ではPBの増加と共に前者は高値となり後者は減少した. 一方CAの主な結合タンパクであるアルブミン (Alb) 濃度の低い場合には, PBの高いCAの血中濃度が低値でその除去率が高い傾向が見られた.
一般にPBの高い薬物ほど透析されにくいとされている. しかし, CAの場合には異なる結果が得られた. これは, 多くのCAではそのタンパク結合力が弱いために, 結合型と遊離型の移行が速やかに生じ, CAの透析性に対するPBの影響が小さくなるためと思われる. しかしPBの高いCAでは結合力が強いために, そのような効果が得られないものと考えられる. 一方Alb濃度が低い場合には, AlbがCAで容易に飽和されてしまうため, 結合力の強いCAでも遊離型が増加して, 透析性が高くなるものと推測される.

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