日本透析療法学会雑誌
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血清Mg濃度とPTH -透析患者における検討-
嶋田 裕之田畑 勉中塚 喜義萩原 聡井上 隆三木 隆巳西沢 良記森井 浩世
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1991 年 24 巻 4 号 p. 449-453

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抄録
透析液中のMg濃度の変化が副甲状腺ホルモン (PTH) 濃度に及ぼす影響について種々の報告が見られている.
今回我々は血液透析患者55名にMg含有製剤を投与し, そのPTH濃度に及ぼす影響について検討した. 対象は血液透析患者55名 (男性28名, 女性27名, 平均年齢41.8±9.6歳, 平均透析期間44.8±33.6か月) とし, Mg含有製剤を経口投与し, 血清Mg, Ca, P, PTHを48か月まで観察した.
血清Mg濃度はMg製剤投与後6か月目より2.55±0.04 (mean±SEM) mEq/lより2.98±0.05mEq/lへ有意な上昇を認め (p<0.01), Mg製剤の投与期間中は3.0mEq/l前後の高値を維持した. C-PTHは血清Mg濃度上昇に伴い6か月後から12か月後に有意な低下を示す患者群 (41名, 74%) と上昇を示す患者群 (14名) の2群が認められた. 両群においてはMg製剤投与開始時では血清Mg, Ca, P透析期間には差を認めなかった. またMg製剤投与開始後, これら2群において血清Ca濃度には有意な変化を認めなかった. しかし, 血清P濃度はMg製剤投与とともに有意な低下を両群において認めた. 18か月以降は血清のMg, Ca, P値に有意な変化は認めないにも拘わらず, 両群ともにC-PTHは上昇する傾向にあった.
以上の結果より透析患老においては血清Mg濃度の上昇は一時的にPTHを低下させるが, 長期の観察では抑制し得ないと考えられた.
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© 社団法人 日本透析医学会
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