抄録
慢性血液透析症例 (26例) にrEPOを投与し, 赤血球機能に及ぼす影響を検討した.
rEPO投与により貧血が改善安定した症例で血清鉄60γ/dl以下の症例に鉄剤を投与したところ, さらなる貧血の改善が認められた. 鉄欠乏状態でrEPOを投与すると小球性低色素性赤血球が産生される危険が考えられた. 鉄回転においては, rEPO投与により%rcuは上昇, PIDT1/2は短縮し, 鉄利用率の増加が認められた. 赤血球寿命ではrEPO投与により有意の変化は認められなかったが, 貧血改善程度と赤血球寿命延長との間には負の相関を認め, 貧血改善程度の大きい症例ほど赤血球寿命は短縮することが認められた. rEPO投与により赤血球膜脆弱性には変化は認められなかった. rEPOは貧血の改善効果は著明であるが鉄欠乏状態では小球性低色素性赤血球の産生や, 時には幼若な赤血球の産生が刺激される危険が推測された.