日本透析医学会雑誌
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バルプロ酸ナトリウム投与中の血液透析患者に発症した急性膵炎および高アンモニア血症の1例
上條 利幸佐藤 俊和柳沢 良三岸 洋一
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27 巻 (1994) 1 号 p. 53-57

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抄録

バルプロ酸ナトリウム (VPA) 投与中の慢性血液透析患者に発生した急性膵炎および高アンモニア血症による意識障害を呈した症例を経験したので報告する.
症例は, 29歳, 女性で, 血液透析歴4年の患者であり, 抗てんかん剤VPA内服中であった. 腹痛, 悪心・嘔吐を認め来院. 高アミラーゼ血症, 膵腫大, 麻痺性イレウスを認め, 急性膵炎と診断した. VPAを一時的に中止し保存的療法にて回復した. その後経過は良好であり, VPAも再開したが, 約2か月後に再度腹痛を認めた. 上部消化管検査にて食道炎, 胃びらんを認め, 必須アミノ酸製剤 (アミュー) を含む経静脈栄養法を施行した. その3日後突然昏睡状態となり, 生化学検査にてNH3が異常高値であり, 高アンモニア脳症による昏睡と診断した. 直ちにVPAを中止し, 分枝鎖アミノ酸製剤 (アミノレバン) の投与および血液透析療法にて意識状態の改善を認めた. その後他の抗てんかん剤に変更し, 経過は良好である.
急性膵炎および高アンモニア血症による意識障害は, その一因としてVPA投与による副作用が疑われ, VPAの副作用について考察を加えた.

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