日本透析医学会雑誌
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内シャント閉塞に対するバルーン拡張術 適応の拡大
太田 信隆大橋 涼太有賀 誠司千葉 卓哉栗田 忠代士宇佐美 隆利
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1994 年 27 巻 3 号 p. 181-184

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抄録

内シャント不完全閉塞4例, 完全閉塞15例の計19例を対象に, 血管形成術を行った. 手術はエアータニケットにより静脈を拡張させ, 狭窄部の中枢側静脈を切開. 同部より血管内を洗浄, 血栓を摘出した. 閉塞部にバルーンダイレーターを支えとして0.025inchラジフォーカスカテーテルを通過させ, バルーン径5mm, バルーン長2cmの血管形成用オルバートバルーンカテーテルを挿入, 10気圧1分間の拡張を2-3回行った. 操作中ヘパリン3,000単位, およびargatroban 10mgの投与を行った.
12例で血栓の排出がみられ, 初期成功率は19例中18例94.7%. 術後開存率は7日目で84.2%, 30日目で73.7%, 90日目で73.7%であった. 完全閉塞例のみでの初期成功率は92.9%, 7日目85.7%, 1か月, 6か月とも71.4%であった. 本法によると考えられる術後合併症はみられなかった. 本法は完全閉塞を含む内シャント血流不全に有用な治療法と考えられた.

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