日本透析医学会雑誌
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股関節人工骨頭置換術後血栓性血小板減少性紫斑病 (TTP) を併発したと思われる長期透析患者の1例
児玉 敏宏打田 和宏懸高 昭夫坂口 俊文松尾 恒久小畑 拡嗣上田 俊郎上田 弘樹阿部 富彌前田 明文
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1994 年 27 巻 4 号 p. 313-317

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抄録

症例は59歳女性で透析歴は17.5年. 左アミロイド股関節症にて平成4年7月8日人工骨頭置換術を施行した. 術前より血小板減少が認められ, 術後巨大血腫, 薬剤性肝障害, DICを合併し, その治療経過中に発熱, 黄疸, 精神症状, 貧血, 血小板減少の進行等出現した. 血栓性血小板減少性紫斑病 (TTP) の併発を強く疑い, 平成4年8月31日より血漿交換を行うも9月3日永眠した.
骨髄穿刺所見では, 巨核球系, 赤芽球系, 白血球系の低形成が認められた. 透析患者にTTPの合併した症例の報告はほとんどなく, 骨髄所見に関しても定型的なものは報告されていない. 今回我々の経験した症例は術前より特発性血小板減少性紫斑病 (ITP) の合併があり, 手術的侵襲, 巨大血腫, DIC, 肝障害等の何らかの障害が加わりTTPを併発したものと思われた.

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