日本透析医学会雑誌
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ポリエチレングリコール鎖グラフト膜による血液透析における白血球接着分子の動態
安藤 亮一土肥 まゆみ井田 隆千田 佳子戸村 成男中村 義弘松井 則明小倉 三津雄中川 成之輔
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1994 年 27 巻 6 号 p. 949-953

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抄録

血液透析中の白血球減少, 補体活性化, 線溶亢進, 血管内皮刺激が少ないとされるポリエチレングリコール鎖グラフト膜 (PC膜) を用いた血液透析中における白血球接着分子の動態について, 同一仕様の再生セルロース膜 (OC膜) と比較検討した. 対象は安定した血液透析患者8名で, OC膜とPC膜をクロスオーバーで用い, 3種類の白血球接着分子 (LFA-1, Mac-1, p 150, 95) の発現をフローサイトメトリーにて測定し, その透析中の経過を比較検討した. OC膜で, LFA-1は軽度増加, Mac-1は最大で約5倍に達する著明な増加, p 150, 95は最大で約3倍に達する増加を認めた. 一方, PC膜もOC膜と相似の経過を示したが, LFA-1の15分の動脈側, Mac-1の15分, 60分の動脈側, p 150, 95の15分の動・静脈側で, いずれもOC膜より有意な低値を示し, 透析中の白血球接着分子の発現の亢進が少ない傾向であった.
以上より, 透析中の白血球接着分子の発現亢進は, PC膜がOC膜に比して少なく, 透析中の白血球減少や血管内皮刺激が少ないことに関与していることが示唆された.

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© 社団法人 日本透析医学会
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