1994 年 27 巻 6 号 p. 997-1001
今回, 我々は, 肝硬変に伴う意識障害に対して, 血液濾過透析が著効した, 維持血液透析下の慢性腎不全の1例を経験したので報告する. 患者は, 53歳, 女性で, 以前よりC型肝炎の進行による肝硬変の治療を受け, また, 腎機能低下の進行のため維持血液透析を受けていた. 平成4年9月28日, 意識障害のため入院した. 高アンモニア血症による肝性昏睡の進行が原因と診断し, 高アンモニア対策と血液透析を施行したが, 意識障害の軽減は見られずさらに悪化したため, 高性能膜を用いた血液濾過透析を行ったところ, 血中アンモニア濃度の低下と意識障害の改善が認められた. 慢性腎不全において, 肝硬変による肝性昏睡を合併した場合には, 血液濾過透析が有効と考えられた.