日本透析医学会雑誌
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デオキシコール酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動による透析液中に存在する分子量の小さいエンドトキシンの検出
小室 徹雄中澤 了一
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1994 年 27 巻 7 号 p. 1025-1030

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抄録

血液透析施行中に, 発熱等の症状が発現することがあるということはよく知られている. それらの原因が, 透析液中のグラム陰性菌に由来する細菌内毒素 (ET) によるのではないかとする報告もある. しかし, ETは水溶液中ではその分子量が少なくとも百万以上であると推定されていることから, 一般的にはETが透析膜を透過することはありえないと考えられてきた. そのため透析液中のETの分子量に関する検討は殆どなされていないのが現状であろう.
これまでに著者らは, デオキシコール酸ナトリウムを使用する新たに改良したポリアクリルアミドゲル電気泳動法を用いてETの分子量に関する研究を行ってきた. そこで今回, この方法により透析液中のETの分子量がどの程度のものであるのかを明らかにしようと試みた. その結果, 透析液には少なくとも2種類の分子量のETが存在すること, また, 分子量既知のサルモネラETをコントロールとして検討した実験結果から, 分子量が4,000前後のET, および数万の分子量のETが透析液中に存在することを確認した. 以上のことから, 透析液中には分子量的にみて透析膜を透過するETが存在する可能性のあることが示唆された.

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