日本透析医学会雑誌
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尿路上皮癌を合併した血液透析患者に関する臨床免疫学的検討
上條 利幸佐藤 俊和柳沢 良三岸 洋一
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1994 年 27 巻 7 号 p. 1031-1035

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抄録

血液透析中の患者に発生した悪性腫瘍特に尿路上皮癌について, 臨床的免疫学的所見を明確にするために検討を加えた.
1983年1月より1992年12月までの10年間に東京都立豊島病院泌尿器科にて血液透析中に尿路上皮癌を合併した6例 (腎盂尿管膀胱1例, 膀胱5例) を対象とした. 主訴は全例肉眼的血尿であり, 癌発見までの透析期間は1-96か月で, 4例は2年以内と比較的早期に発見された. 治療は経尿道的膀胱腫瘍切除術3例, 膀胱全摘除術3例 (1例には腎尿管全摘除術も施行) であった. 病理組織は全例grade 3で, 3例はhigh stageの浸潤癌であった.
免疫学的所見は4例でリンパ球数が1,000/mm3以下に減少していた. またT cell活性化の指標であるリンパ球刺激試験も低下している例が多かった. しかし液性免疫の1つである免疫グロブリン分画には異常が認められなかった. また免疫抑制性蛋白も全例高値を呈していた. 以上より免疫能特に細胞性免疫の低下している可能性が示唆された.
血液透析患者に発生した尿路上皮癌は, その発生および早期進展の一因として細胞性免疫低下の可能性が示唆された. また血尿の出現は, 尿路上皮癌も念頭に置き, 精査すべきである.

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