日本透析医学会雑誌
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CAPD療法中に急性膵炎を合併した3症例
中尾 英一仁科 良田辺 亨史鈴木 大輔古田 薫遠藤 温子須賀 孝夫遠藤 正之野本 保夫堺 秀人
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キーワード: 急性膵炎
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1994 年 27 巻 7 号 p. 1061-1068

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抄録

血液透析や腎移植の症例では急性膵炎の合併は多数の報告が認められている. CAPDでも同様な報告を認めている.
今回我々も3例のCAPD患者に急性膵炎を合併した症例を経験した. 症例1は43歳男性, 1987年10月CAPD導入. 1990年5月心窩部痛, 背部痛にて入院した. 末梢血中WBC上昇, 膵酵素の上昇を主とする肝障害を認め急性膵炎と判明, 禁食, 蛋白分解酵素阻害剤を行ったが緩解, 増悪を特に誘因なく生じるためその発症にCAPDの関与を疑いカテーテル抜去した. HD移行にて改善を認めた. 症例2は52歳女性, 1987年11月CAPD導入, 1回の腹膜炎の既往がある. 1991年12月腹痛, CAPD排液の混濁を認め入院. 好中球優位な排液細胞数の増加, 血清amylase (Amy) 上昇を認め, 腹膜炎, 急性膵炎と診断した. 投薬にて速やかに症状, 検査成績の改善を見たが1か月半後CT上腎腫瘍を認め摘出した. 術後の経過は良好である. 症例3は48歳女性, 1972年HD, 1989年5月CAPD導入した. CAPD導入後特に合併症はない. 1993年4月右大腿骨頸部骨折にて入院. 骨折に対しスクリューを挿入したが経過不良なため人工骨頭を挿入した. その後血清Amy 364U/l, 血性排液, 消化器症状を認め急性膵炎の合併がみられた. その後軽快した. 7月初めシャント部静脈血栓を認め, その後急性膵炎の再燃をみた. HDに移行したが3回目のHD後に腹部膨満, ショックとなった. 血管造影にて膵炎に起因する仮性動脈瘤の破裂と判断し塞栓術を施行したが全身状態が悪化し死亡した.
血液透析中急性膵炎をきたす割合は正常例と比べ高値を示している. CAPD療法が急性膵炎の発症に影響を果たしている可能性も否定できず今後症例を重ね検討を要すると思われる.

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