日本透析医学会雑誌
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Aortic calcific stenosisが急速に進行し突然死をきたしたCAPD患者の1例
金 成洙田村 展一廣瀬 悟相楽 達男糸山 進次御手洗 哲也磯田 和雄
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1994 年 27 巻 7 号 p. 1081-1085

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抄録

症例は69歳の男性で慢性腎不全のため1986年, CAPDに導入した. 腹膜透析液はBaxter社製ダイアニールを1日4回の交換としていたが, 血清Mg濃度が高値となったためMg濃度が低いダイアニールPD2に変更した. 特記すべき合併症もなく良好に経過したが, 1988年6月に初めて大動脈弁無冠尖の石灰化を指摘された. 定期的心エコー検査で経過観察していたが, 弁石灰化は急速に進行し, 1991年7月の心エコーでは左冠尖・無冠尖の石灰化が著しく, 弁口面積は0.68cm2と狭小化し重症大動脈弁狭窄症 (AS) と診断された. 待機手術を予定していたが突然死した. 剖検で大動脈弁の3尖全体にわたる石灰化を認め, aortic calclfic stenosis (ACS) と診断された. 経過中PTH値, Ca×P積, 血清脂質濃度, 血清Mg値と石灰化の進行時期は一致しなかった. しかし腹膜透析液を乳酸濃度の高いPD2に変更後, 血漿重炭酸濃度は23-27mEq/lと高値が持続した. アルカローシスが組織への石灰沈着を促進するという報告があり, 大動脈弁石灰化が急速に進行した原因となっている可能性が示唆された.

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