日本透析医学会雑誌
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血液透析患者における内因性erythropoietinとヘマトクリットとのフィードバックについて
寺山 百合子二川原 和男佐藤 元昭森田 秀舟生 富寿川口 俊明鈴木 唯司
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1995 年 28 巻 1 号 p. 45-49

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抄録
erythropoietin (EPO) 産生能が残存している血液透析 (HD) 患者におけるEPOの分泌調節機序とEPOに対する赤血球産生の感受性について明らかにするために, HD患者154例から選んだ10例について2年8か月間の血漿EPOとヘマトクリット (Ht) および血清鉄 (Fe) との相関関係をみた. 血漿EPOの測定はradioimmunoassay法である.
EPOがHtと逆相関関係を示した7例においては, EPOはFeとも逆相関関係にあったが, 同程度のHtおよびFeに対するEPOレベルに症例間で差がみられた. 出血前後では4例がEPOとHtと逆相関関係を示し, そのうち2例では出血後1週間はEPOが著しい高値となったが, その後は同程度のHtに対しても軽度の高値に留まった.
以上から, HD患者の約6%の例ではEPO分泌は鉄欠乏および出血に対してフィードバック調節されていることが示された. EPOレベルの症例による差はEPOに対する赤血球産生の感受性の差か, EPOの測定値に占めるbioactive EPOの割合が異なるためかは明らかではない.
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