日本透析医学会雑誌
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血液透析患者にみられた遺残ガーゼによる膀胱周囲膿瘍を合併した膀胱癌の1例
井上 均朴 勺友吉 唯夫南 義彦広瀬 哲朗青山 英久長尾 昌寿
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1995 年 28 巻 10 号 p. 1389-1392

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抄録

症例は, 66歳, 男性. 8年前某院にて, 膀胱高位切開による膀胱結石摘出術を受けた. 1993年1月8日より慢性腎不全にて血液透析を導入した. 同年8月20日微量の自尿が肉眼的血尿を呈し, 膀胱鏡にて膀胱右側壁に, 表面は乳頭状であるが広基性の腫瘤を認め, 生検にて膀胱原発の移行上皮癌と診断された. また, CTにて膀胱左側に4.2×3.7cmの腫瘤を認めた. 9月21日膀胱全摘除術を施行し, 両側尿管は結紮した. 膀胱左側の腫瘤は膀胱との癒着を認めず, 容易に摘除できた. 腫瘤は遺残ガーゼによる無菌性膿瘍であった. 術後経過は良好で, 1年6か月を経過したが転移や再発は認めていない.
血液透析患者においては, 尿量の減少により, 尿路癌の臨床徴候に乏しく, 早期発見が困難であるため, 定期的な画像検査および尿細胞診検査が必要と思われた.

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© 社団法人 日本透析医学会
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