日本透析医学会雑誌
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血液透析患者における左室流入および肺静脈血流動態の検討
田村 忠司太田 真佐藤 成明杉本 健一田中 博宇都宮 正範齊藤 広重岡田 秀雄池田 恵一川口 良人酒井 紀
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1995 年 28 巻 11 号 p. 1437-1442

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抄録

維持血液透析患者における左房機能および左室拡張機能を検討するために左室流入および肺静脈血流速波形を解析した.
血液透析患者14例および健常者12例を対象とし, パルスドプラ法を用い左室流入および肺静脈血流速波形を透析終了後2-14時間にて記録した. 左室流入血流速波形より拡張早期最大血流速 (E), 心房収縮期最大血流速 (A), A/EおよびEのピークからの減速時間 (DT) を, 肺静脈血流速波形より収縮期最大血流速 (PV-S), 拡張期最大血流速 (PV-D) および心房収縮期逆行性最大血流速 (PV-A) を計測した.
左室拡張機能障害の指標であるA/EおよびDTは血液透析患者で有意に大であった. EおよびPV-Dは両群間で有意差はなかった. 左房血液貯留機能の指標であるPV-Sおよび左房ポンプ機能の指標であるAおよびPV-Aは血液透析患者で大であった. 左房径はA, PV-A, PV-Sと各々有意な相関を示した.
維持血液透析患者では左室拡張機能障害および慢性の前負荷増加状態に対し左房の血液貯留機能およびポンプ機能を亢進させて対応していると考えられた.

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