日本透析医学会雑誌
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溶血発作を契機に急性腎不全をきたしそれにより死亡に至った発作性夜間血色素尿症 (PNH) の1例
曽我 陽子西尾 晃中村 充男
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1995 年 28 巻 11 号 p. 1475-1479

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抄録

症例は73歳の女性. 昭和62年よりPNHとして少量のステロイド剤にて比較的安定して経過していたが, 平成5年6月にLDH7,320IU/lに達する著しい血管内溶血に伴いBUN130mg/dl, Cr 10.6mg/dlと急性腎不全をきたした. 生検にて糸球体は著変なく尿細管上皮にヘモジデリンの沈着を認め, 腎不全の主因は溶血発作であると考えられた. 直ちに血液透析に導入し, 約2週間の経過で軽快退院した. しかし10月には下腿静脈血栓症を起こし再入院. 溶血所見も徐々に悪化し, 11月には再度透析導入が必要となり, 急性期は脱し得たものの, 以後汎血球減少も進み溶血の進行とともに腎機能も低下し, 全身状態の悪化から高窒素血症, 溢水のために死亡した. PNHの溶血発作に随伴する腎不全の報告は散見されるが, 本症例ではそれが直接の死因となった点が注目に値する. 腎不全もまたPNHの予後を規定する重要な合併症と思われ経過観察上も十分な注意を払うべきと考え報告した

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