日本透析医学会雑誌
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血液直立流入回路のポート内流動状態に関する検討
久米井 和彦太尾 泰雄横瀬 誠治
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1995 年 28 巻 3 号 p. 247-252

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抄録

ダイアライザーの抗血栓性に関して血液回路からの流入状態による影響を調べるため, 直立流入ホルダーを作成し血液回路ポート流入前の直立長を変化させポート部形状の異なる各種ダイアライザーを比較検討した. 評価ダイアライザーはTF-1500H (TF), PS-1.6UW (PS), BK-1.6F (BK), CL-SU15N (CL), PAN-13DX (PAN) とした. 血液回路ポート流入前の直立長は0mm, 50mm, 100mm, 150mmに設定しポート内に電極を装着し流動状態の変化を測定回路に疑似血液を循環させ, 電圧差により開始30 sec, 7min値を各10回測定し評価した. 動脈側30sec では各電極の差積算値の平均値と直立チューブ長との間に, CLを除き, 正の相関が認められた. 各電極の差積算値の標準偏差および各電極の最大と最小の幅は直立チューブ長と負の相関傾向が認められた. 直立チューブ長の延長によりポート内の流れの中央指向性を高め, 中央部と周縁部の流れの差を大きくするが周縁部各点の流れの差 (偏流) を小さくする整流効果が確認された. 実際我々は臨床において直立専用ホルダーの装着によりポート部および透析膜内の凝血に対する効果を得ており, ポート部形状の異なるダイアライザーに対し直立長を変化させることが抗血栓性に対し, 重要な影響を及ぼしていると考えられる.

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© 社団法人 日本透析医学会
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