日本透析医学会雑誌
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持続的血液浄化法 (CHFおよびCHDF) の臨床的検討
川井 修一白瀧 敬佐長 俊昭
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キーワード: 持続的血液浄化法
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1995 年 28 巻 4 号 p. 341-346

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抄録

循環動態が不安定な患者の血液浄化法としての持続的血液濾過 (continuous hemofiltration; CHF) および持続的血液濾過透析 (continuous hemodiafiltration; CHDF) の有用性および臨床成績についてretrospectiveに検討した.
対象は1988年3月より1993年6月までに持続的血液浄化を施行した186例 (CHF 160例, CHDF 26例) である. いずれの症例も循環動態が不安定で血液透析 (HD) が不可能なため持続的血液浄化を施行した. 原疾患は心臓血管外科術後が94例, 心不全を合併した循環器科疾患76例, その他16例であった. CHFおよびCHDF施行時間は平均180.7時間で, 使用したhemofilterの本数は1症例当たり平均3.0本であった. 186例中59例 (31.7%) が持続的血液浄化法より離脱したが, そのうち13例は離脱後に原疾患などで死亡したため, 救命率は24.7%であった. 原疾患別にその離脱率には, 有意差は認めなかった. 溶質除去効率については, CHFでは施行前後でBUN値, Cr値ともに有意な変化を認めなかったが, CHDFでは施行72時間後にはBUN値, Cr値ともに50%以上低下して, CHFよりCHDFが溶質除去能に優れていた. 離脱群と死亡群で, CHFまたはCHDF導入時の臨床検査成績を比較すると, 離脱群では尿量は保たれ, 収縮期血圧が高かった. また離脱群では血清総ビリルビン値は低値で, 血小板数は多かった. 導入時のBUN値, Cr値には有意差は認めなかった.
CHFおよびCHDFは, 循環動態が不安定な腎不全患者の血液浄化法として有用であり, 本療法よりの離脱率を改善するには, 全身状態が悪化する前に早期にCHFまたはCHDFに導入することが重要と考えられた.

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